【3日目】あの日プールサイドで見つけた答えを僕はまだ忘れていない

17 11月

自己紹介

「DevLOVE Advent Calendar 2012 “Professional”」の3番手を務めさせて頂きます、@takigawa401こと滝川と申します。現時点では都内の受託開発会社で働いています。DevLOVE界隈ではもしかしたら「勉強会レポートブロガー」として認識して頂いているかもしれません。

それでは、拙い文章ではありますが、どうぞお付き合い宜しくお願い致します。

“Professional”

さて、今回の“Professional”というお題を目にして頭をよぎったのはNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」です。ご存知の方も多いと思いますが、この番組は、「プロフェッショナルとは?」という問いを出演者に投げかけて一言で答えて貰う、という幕引きを毎回行います。番組HP( http://www.nhk.or.jp/professional/movie/index.html )でこの最後の一言の動画を見ることが出来ますが、それぞれの道のプロフェッショナルらしく含蓄があるものばかりです。しかし、一方で「プロフェッショナルとはこれだ!」という定義はそれぞれで異なり、答えがひとつでは無いのも見て取れます。

ではオレの「プロフェッショナル」とは何なのか?一応プロのITエンジニアとして食っている身とはいえ、自分が「プロフェッショナル」かと問われると、あまり自信がありません。ただ、以前似たような問いについて考えたことがありましたので、その時見つけた答えについてお話したいと思います。

“ライフガード”という仕事

もう10年以上前になりますが、オレはかつて都内の市営屋内プールでライフガードの仕事をしていました。学生バイトから卒業後も働き続け、最終的にはそのプールの責任者代理まで務めました。

ライフガードというのは、一般の利用者から見ると、非常にヒマそうで楽チンな仕事に見えるものです。特に郊外の屋内プールなんてのはその最たる例で、利用者の大半は地元のお年寄りや常連さんばかりです。トラブルも少なく、季節や時間帯によっては非常に閑散としています。

ですが、実態は大きく異なります。人に限らず地上に生きる生物というのは、水辺にいるだけで死亡率が圧倒的に高くなるものです。ライフガードには、事故を防ぐ役割と、万が一事故が起こってしまった時に被害を最小限に食い止める役割が課せられます。当然それに伴う練習も相当量に必要で、学生の運動部顔負けの質・量の毎日欠かさず練習を行っていました。

そこまでやっても事故は起こるし、人は死ぬときは死にます。事故はめったに起こらないと前述しましたが、逆に言えば「事故が起こるときには人命に関わるクリティカルなものしか起こらない」ともいえます。恥を偲んで告白すると、オレ自身、くも膜下出血の男性と脳梗塞の女性を救助した経験があります。ライフガードにとって「事故を起こさないこと」こそが誉れであり、たとえどんな事情があろうと事故を起こしてしまったら恥でしかないんですね。たまたまお二人は運良く助かりましたが、もし事故後の対処が悪かったら…と考えると、10年以上経った今でも背筋が凍る思いがします。
現職に転職した後でも最初の半年くらいは、職場でふと恐怖感にかられて周囲を見渡し、「ああ、この職場では人は死なないんだっけ。」と胸を撫で下ろしたことが、何度と無くありました。

そんな苛烈な仕事がライフガードです。もっとも仲間は体育会系の気の良いヤツらばかりでしたので、総じて楽しい職場でした。なにより、やりがいと達成感のある仕事だったと思います。

天啓

ここまでが前置きです(長くてすみません)。

そんなわけで学生のうちから否応無く真剣にならざるを得ないバイトをしていただけに「仕事ってなんだろう?」という疑問をずっと持っていました。バイトなんだけどそんじょそこらの社会人よりはよっぽど真剣に仕事をやってる。真剣にやってるけども特別何も生み出さないし成果も残らない。金は食うためには必要だけど働くってそれだけじゃない気がする。プロとアマって、バイトはアマチュアなのか?プロはなんだったらプロになるんだ?じゃあオレがやってるのはプロの仕事なのか、アマチュアの仕事なのか?自分はどんな仕事がやりたいのか?

そんなことをウダウダと考えて続けていました。答えが出たのは突然でした。なんの前触れも無く。たしか監視台の上で、天気の良い日でした。季節は…そんなに暑くなかったような気がするし、たしか利用者が少なかったので、夏以外だったんじゃないかと思います。

1. 好きなことをやってお金を貰うこと
2. その為に時には嫌なことも引き受けること
3. その仕事の結果で誰かが幸せになること

それまで散々考えていたのに、出てきた答えはあっけないものでした。ただ、突然降ってきたその答えは、妙にオレにとってしっくりきたんです。この答えを手に入れたことで、オレは転職を決意し、現在のITエンジニアという職業に就いています。

「する」と「なる」

個人的に一番大事なのは3番目だと思っています。昔「いいひと。」という漫画で読んだのですが、「誰かを幸せにすること」と「誰かが幸せになること」には大きな違いがあるそうです。

「幸せにする」というのは目的です。そのために手を尽くし、最終ゴールとして対象者が「幸せであると感じる」ように意図的に「幸せ」な状態に持っていくことを指します。

一方で「幸せになる」というのは状態です。結果として対象者が「幸せ」だと感じることはあるかもしれませんが、それを狙ってこちらが直接あれこれするわけじゃない。対象者が勝手に「幸せ」だと感じるだけ。でもそこには自分の関わった何かが直接的・間接的に影響してその人を「幸せ」な状態に遷移しやすくする。場合によっては自分の知らないところでいつの間にか「幸せ」になっていることもある。「幸せになる」っていうのは、そういうものなんだそうです。

ライフガードの仕事というのは、この「幸せになる」に非常にしっくり来ると感じました。ライフガードが提供するのは安全で清潔な遊泳環境で、それ以上の過剰なサービスは提供しません。怪我したら、事故にあったら、施設が汚なかったら、ライフガードの態度が感じ悪かったら、エトセトラエトセトラ…。起こりうるマイナス要因を防ぐのが役割です。
また、利用者側にも同じことが言えます。プールで必死で泳いでいるその瞬間に自分が幸せだと感じる人はあんまりいないでしょう。泳ぎ終わって爽快感や達成感を感じたり、体重が減ったことを喜んだり、練習の成果が大会などで出せたりした時に、初めて自分が「幸せ」だと感じることになるはずです。そこにライフガードが直接関わることはありませんが、でも確かにどこかで影響している、そういう仕事だと思います。

”ITエンジニア”という仕事

ITエンジニアの仕事も、「幸せになる」類のものだと思っています。ゲーム開発ならともかくとして、ユーザーの幸せに直結するような何かを提供することは、基本的には無いでしょう。我々が提供するものは形は様々ですが、どちらかというと「従来ならば人の手で行っていた作業を軽減する」ことが主たる役目です。我々に仕事によって出来るのは、我々の開発したモノやサービスによって作業を行う人が、楽に作業を片付けられたり、早く仕事を終えられたり、誰かと簡単に連絡が取れたり、欲しい物がすぐ見つかったり、忘れ物を防いだり、コストを抑えて別のところにお金を使えたり、まぁそんなもんです。でも、その結果として、副次的効果で「幸せになる」ことはあるはずです。我々が提供したシステムやサービスが快適で使いやすいものであったなら、その効果は更に大きく作用するのではないでしょうか。

自分自身は好きなことを仕事に出来て、それでお金が貰えて飯が食えて、仕事の結果としてどこかで誰かが知らない間になんとなく幸せになるんだとしたら、それは悪くないんじゃないかなぁ、とオレは常日頃から思っています。今のオレにそれが出来ているとは思いませんが、10数年前に見つけた答えをいつか実現したいと思い、日々精進している次第です。

最後になりますが、話を冒頭に戻しまして「プロフェッショナル 仕事の流儀」風に、お題の“Professional”に答えて筆を置きたいと思います。まぁオレがあの番組に出ることなんてまかり間違ってもありえませんけどね(笑)。

「プロフェッショナルとは?」

『誰かがどこかで幸せになる、そういう仕事が出来る人のこと』

バトンタッチ

それでは「DevLOVE Advent Calendar 2012 “Professional”」のバトンを4番目のたけぷ~さんにお渡ししたいと思います。きっと素晴らしいプロフェッショナル論を展開してくれるでしょうから、もう24時間ほどお待ち下さいませ♪

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コメント / トラックバック1件 to “【3日目】あの日プールサイドで見つけた答えを僕はまだ忘れていない”

  1. takepu 12月 4, 2012 @ 2:10 am #

    「その仕事の結果で誰かが幸せになること」
    就職して20年経ちますが、自分の仕事で誰かを幸せにした実感って、ぜんぜんないんですよね。多くのITエンジニアは直接お客様と会話する機会が無いので、共感いただける方は多いような気がします。
    自分の仕事でお客様が喜んでくれれば、もっと多くのITエンジニアのヤル気をもってお仕事に熱中できるような気がします。なかなか難しいですが…。

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